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葵祭の行列とは?

葵祭の風流傘

▲葵祭の風流傘

葵祭・路頭の儀の行列は、天皇が上賀茂神社と下鴨神社の神に捧げた御幣物(ごへいぶつ/供物のこと)をそれぞれの神社に届けるための一団を再現したものです。
510余名の人々と、牛車2台、牛馬計約40頭から成り、全長は約1kmに及びます。

参加者は、「葵桂(あおいかつら)」と呼ばれる、葵と桂の葉をからませて編んだものを身につけます。男性は冠や烏帽子に、女性は髪や胸元などにかざります。葵桂は人物だけでなく、牛車や牛馬など、あらゆるものを飾るのに使われます。
これは、昔、賀茂別雷神(かもわけいかづちのかみ)から「葵と桂を飾り、祭りをすれば、降臨しよう」と神託があったためと言われています。

行列は、以下の5つのグループに分けられます。

1.警衛の列

平安京の治安を守った検非違使庁(けびいしのちょう)の役人たちが中心となり、行列を警護しながら先導します。
下鴨神社と上賀茂神社に到着後は、本殿などがある聖域の外で控えて、祭りの警護にあたりました。

葵祭、警衛の列

2.御幣物を奉じる列

下鴨神社と上賀茂神社に献ずる絹・布・糸・綿などの御幣物を守って運ぶ隊列です。御幣物は、紙垂(しで)と葵や桂の葉で飾られた白木の唐櫃(からびつ)に入れられていました。唐櫃は3つあり、うち2つが下鴨神社、1つが上賀茂神社に奉納されます。

【御幣物の奉納先】
◎下鴨神社・西殿:賀茂建角身命 (かもたけつぬみのみこと):古代の豪族、賀茂氏の始祖です。神武天皇東征の際、先導役を果たしたとされます。
◎下鴨神社・東殿:玉依姫命 (たまよりひめのみこと):賀茂建角身命 の娘です。川で丹塗(にぬ)りの矢を拾い、床に置いて寝たところ、懐妊したとされます。
◎上賀茂神社・本殿:賀茂別雷命(かもわけのいかづちのみこと):玉依姫命 から生まれた子どもです。雷の神であり、五穀豊穣の神ともされます。

葵祭、御幣物を奉じる列

3.走馬の列

葵祭で「走馬の儀」などに使われる馬を連れた列です。馬の飼育や調教、諸国の牧場を管理する馬寮の役人が、行列を取りまとめていました。

葵祭、走馬の列

4.勅使の列

葵祭・路頭の儀の中心となる行列です。
一団の中では、勅使が乗る御所車がひときわ目を引きます。御所車は藤などで飾られており、飾車とも呼ばれます。また、行列の中で最高位の近衛中将が束帯を着て、飾り太刀を腰につけ、馬に乗ります。

行列は、警護を担当する馬副や随身、牛を引く牛童、牛車が壊れたときに修理をする大工、武官ながら「東遊(あずまあそび)」を舞う舞人(まいびと)、琴や笛などの楽器を担当する陪従(べいじゅう)、各種の荷物を持つ雑役など、さまざまな役目のお供から成り立っていました。

一団の最後を、舎人(とねり)が華やかな風流傘を持って歩きます。斎王代・女人列がない時代には、風流傘が行列全体の「トリ」の役を果たしていました。

葵祭、勅使の列

5.斎王代・女人列

平安時代初期の嵯峨天皇時代に始まった斎王と、その付き添いの一団を、1956(昭和31)年に再現した行列です。
斎王は皇族の未婚の女性の中から占いによって選ばれ、天皇が替わったときに、神様に献じられて、巫女となりました。現在は本当に巫女になってしまうわけではないので、代理の「代」をつけて斎王代と呼ばれます。

斎王代は十二単(じゅうにひとえ)に白い薄衣の小忌衣(おみごろも)を羽織り、腰輿(およよ)と呼ばれる輿(こし)に乗ります。この列は女性らしく、葵や桂だけでなく、桜や新緑のカエデなども飾ります。女性は50人近くいます。
ただし、女性だけで成り立っているわけではなく、輿の担ぎ手は男性です。これに太鼓・鉦太鼓(かねだいこ)・篳篥(ひちりき)・笙(しょう)などを担当する男性の楽人が加わります。

斎王代・女人列は、葵祭の最後を飾る、華やかで美しい行列です。

葵祭、斎王代・女人列

葵祭当日、大忙しの行列参加者たち

葵祭「路頭の儀」の行列の参加者は、5月15日の朝8:00までに京都御所に集合し、決められた部屋で着替えを行います。
葵祭はもともと天皇の勅祭なので、男性の場合は朝廷に参内するときの正装とされた束帯を、女性の場合は女房装束などを着ます。そのため、着替えにかなりの時間を要します。
もちろん着るものは役割に応じるので、ほかの衣装を身につける人もいます。

9:30になると、衣紋方(えもんかた)からチェックを受けます。次いで、拍子木の音を合図に列を組み、10:00に「進発の儀」が行われ、宜秋門から出て、列を整えます。

建礼門の前まで進み、いよいよ10:30に京都御所を出発します。「列見幄(れっけんのとばり)」の前で一礼し、丸太町通へ出て東へ進み、河原町通を鴨川に沿って北上し、下鴨神社に到ります

下鴨神社では「社頭(しゃとう)の儀」を行い、昼食を摂り、少し休憩します。そして、14 :20に再出発し、15:30頃、上賀茂神社の第一鳥居へ到り、列を立て直します。「路頭の儀」はここで終了し、アルバイトの多くは解散します。

一部のメンバーはそのあとも残り、上賀茂神社で行われる「社頭の儀」や「走馬の儀」に参加します。

優美に見えて大変なのは、斎王代。10kgを超える十二単を着て、狭い輿で揺られるので、相当の体力を消耗するそうです。

【関連するページ】
上賀茂神社
下鴨神社

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