余白

葵祭の儀式全般について

葵祭の「社頭の儀」

▲葵祭の「社頭の儀」

葵祭といえば、5月15日の「路頭の儀」が有名ですが、実はそれだけでなく、いくつもの儀式から成っています。それらの儀式はそれぞれに魅力があり、中には有料の観覧席が設けられるほど多くの観光客を集めるものもあります。
もし、機会があれば観覧に行くと、古代の日本から伝わる日本人の心に触れることができるでしょう。

雨天による延期に関することやくわしい情報が必要な場合は、下記へ直接お問い合わせください。基本的に神殿の中で行われることは、一般の観光客は見られませんが、それ以外は観覧可能です。5月12日(夜)に行われる上賀茂神社の御阿礼(みあれ)祭以外は、見学できます。

●行列について:葵祭行列保存会 075-254-7650
●上賀茂神社の祭儀について:075-781-0011
●下鴨神社の祭儀について:075-781-0010

上賀茂神社 5月1日◇競馬足汰(くらべうまあしぞろえ)式

※一般の観覧可。

出走する馬、20頭が決められます。かつて馬料を出した荘園から名を取り、「1番、倭文(しどり)」「2番、金津(かなづ)」などと呼ばれます。
乗尻(のりじり/射手)は烏帽子(えぼし)、浄衣(きよぎぬ)、奴袴(やっこばかま)を身につけて馬に乗ります。そして、馬場殿の前へ進み、神職や所司代に馬を見せて、馬を走らせます。

馬の名の元になった賀茂社領 1.美作(みまさか)国の倭文庄 2.加賀国の金津庄 3.播磨国の安志庄 4.能登国の土田庄 5.阿波国の福田庄 6.美濃国の脛永(はぎなが)庄 7.近江国の船木庄 8.若狭国の宮川庄 9.淡路国の佐野庄 10.出雲国の福田庄 11.備前国の竹原庄 12.備前国の山田庄 13.山城国の名島庄 14.丹波国の由良庄 15.和泉国の深日庄 16.周防国の伊保庄 17.伊予国の菊万庄 18.尾張国の玉井庄 19.伯耆国の星河庄 20.三河国の小野田庄 

下鴨神社 5月3日◇流鏑馬(やぶさめ)神事

※一般の観覧可。

乗尻たちが公家装束で馬に乗り、糺(ただす)の森の参道沿いに設置された500mほどの馬場を走ります。馬場には3ヶ所の的が立てられており、乗尻たちは「陰陽!」の掛け声とともに馬上から鏑矢(かぶらや)を放って、的を射ます。そして、馬場殿の前で、騎馬したまま、紅白の神禄(布)を受けます。
この儀式は平安時代後期に始まり、鎌倉時代に入って武家の社会となるとともに盛んになったもので、本祭に先立ち、馬を浄める意味があると考えられています。

流鏑馬神事

▲流鏑馬神事

上賀茂神社 5月5日◇競馬会(くらべうまえ)神事

※一般の観覧可。

神がご覧になっているという設定のもと、乗尻たちが左右1組ずつ菖蒲(しょうぶ)を手に持ち、その根の長短や大小を比べ合って交換し、相手の菖蒲を4つに追って、勝負を予祝します。
そして、乗尻たちは舞楽の装束を身につけ、小川のほとりで陰陽串による「自己祓(じこばらえ)」をして、「勧盃の儀」に臨みます。
さらに、乗尻たちの代表が祝詞を奉じて競馬を行い、勝った乗尻は白絹を受け取り、それを肩にかけて神々を拝します。

下鴨神社 5月5日◇歩射(ぶしゃ)神事

※一般の観覧可。

直垂(ひたたれ)姿の射手が、楼門内の広庭で大的に次々と矢を放つ「大的式」を行います。次いで、楼門の屋根を越すように、蟇目(ひきめ)の鏑矢を放ちます。これを「屋越の神事」といいます。射手は、武家故実を伝える小笠原一門の方が奉仕しています。

5月上旬吉日◇斎王代の御禊

※一般の観覧可。
<開催予定>
2018年:上賀茂神社 5月4日10:00から
2019年:下鴨神社
2020年:上賀茂神社
2021年:下鴨神社

平安時代、上賀神社と下鴨神社には朝廷から未婚の女性を斎王として遣わす制度がありました。1956(昭和31)年に復活し、斎王の再現という意味で「斎王代」と呼ばれています。
斎王代は京都在住の未婚女性から選ばれ、「斎王代・女人列」に参加するに先立ち、かつて行われていた「御禊(ごけい)の儀」を行います。
斎王代は十二単の上に小忌衣(おみごろも)を羽織り、「斎王代・女人列」に参加する女性たちとともに、禊場へ臨みます。

斎王代の御禊

▲斎王代の御禊

まず、神職が祓(はらえ)を奏すると、斎王代は清流に手をひたして浄め、祓串(はらえぐし)で胸をなでて息を吹きかけ、それを形代として御手洗川に流します。これにより、穢れが祓われるとされています。
御手洗川には、上賀茂神社と下鴨神社の境内の小川が1年交代で用いられます。

下鴨神社 5月12日(昼)◇御蔭(みかげ)祭

※一般の観覧可。
※一行は10:00くらいに出発して、3:30くらいにもどります。もどってから舞楽「東遊(あずまあそび)」が奉納されるため、それを見に行く人が多いようです。

下鴨神社の神職と、昔、下鴨神社の社領であった五ヶ郷の人々、葵や桂の葉を納める静原や雲ヶ畑の人々などから成る一行が、下鴨神社の北東約5kmの場所にある御蔭山へ向かいます。

一行が御蔭神社に着くと、神宝が幄(とばり)の中に納められ、神饌(しんせん/食べ物)が供されます。そして、神職が御生木(みあれぎ)を御内陣に奉じ、新しく甦った下鴨の神霊を神霊櫃(しんれいびつ)に移し、これを奉じて山道を降りて行きます。
そして、糺(ただす)の森まで来ると、摂社の可合神社の前で神霊櫃の神靈を神馬に移します。神馬の前では、神を讃える歌「東遊」が奏され、舞が奉納されます。

神馬が幣殿の前に立つと、神霊は御生木に移されます。これにより、御蔭山で若々しくなった賀茂の神霊が、下鴨神社へ迎え入れられたことになります。 なお、「みあれ」とは、古い言葉で神の誕生・再生を指します。

上賀茂神社 5月12日(夜)◇御阿礼(みあれ)祭

※一般の人は、見学できません。

上賀茂神社の本殿の北約500mのところにある丸山の南麓に「御阿礼所」が設置され、午前中のうちに神籬(ひもろぎ)が設けられます。神籬とは清浄な御囲のことで、杭を12本打ち、藤蔓(ふじづる)の皮でつくった鈴を12個つけ、周囲に松やヒノキ、榊などの枝を刺し、中央に垂(しで)をつけた大きな榊を「阿礼木」として立てます。また、立砂を設けます。

夜8時、宮司や矢刀禰(やとね)などの神職が「御阿礼所」に立ち、神籬に向かって幣を振ります。
そして、「摑(つか)みの御料」と呼ばれる、焼いたトビエイの干物やワカメの粉をご飯に混ぜた神饌を半紙につかみ取って食し、手を洗い、「迎え給ふ、迎え給ふ」と唱えます。

灯火が消えると、宮司は矢刀禰の持つ真榊に手をかけ、「跡たれし 神に逢ふ日のなかりせば 何にたのみをかけて過ぎまし」と秘歌を奏し、真榊に幣を結び、「移り給ふ、移り給ふ」と唱えます。
矢刀禰は真榊を奉じて、上賀茂神社の本殿へ向かい、宮司が祝詞を奏します。これにより、新しく再生した神霊が、殿内に鎮まることになります。

5月15日 葵祭・路頭の儀

※自由に観覧できます。
※神殿内で行う神事の観覧は、招待者および事前に特別に許可を取得した方に限られます。

昔は天皇が京都御所の清涼殿で、東庭に並ぶ使いや神馬をご覧になり、勅使に御祭文を賜っていました。現在は、朝、小御所の南廂で、奉行役が勅使役の近衛使や内蔵使たちに、御祭文と幣物(神への供物)を渡しています。
平安時代の装束を身につけた総勢500人以上に上る行列は、「進発の儀」を行い、宜秋門を出て行列を整えます。

行列は10時半くらいに建礼門から出発します。そして、11時半くらいに下鴨神社に到着すると、まず近衛使以下が馬を降りて参道を進み、舞殿の脇に控えます。そして、宮内庁から派遣された人が正式の勅使として交代し、「社頭の儀」が行われます。
正式の勅使は幄舎に入って、祓えを受けます。それから楼門内へ進み、剣を解き、内蔵使から紅色の料紙にしたためられた御祭文を受け取り、昇殿して座に着きます。内蔵使が御幣物(神への供物)を中門前に捧げると、勅使は天皇の大御代と天下人民の繁栄を祈願する御祭文を奏上します。

そして、神職が勅使の願意を受けて御幣物を神に捧げ、勅使は舞殿を降りて、再び剣を身につけます。さらに「牽馬(ひきうま)の儀」や「走馬の儀」が行われます。

一行は休憩し、食事をとると、上賀茂神社へ向かいます。そして、上賀茂神社に着くと、また「社頭の儀」が行われます。細部は異なりますが、大筋は下鴨神社と同じです。

葵祭、勅使の列

上賀茂神社 5月15日◇葵祭・走馬の儀

※一般の観覧可。

「路頭の儀」と「社頭の儀」が終わると、「走馬の儀」が行われます。
「走馬の儀」では、全14頭が1頭ずつ第一鳥居から第二鳥居まで走り抜けます。さらに、左右の馬寮からの献上馬に相当する最初の2頭を除く12頭が、12日の夜に御阿礼祭を行ったあたりに集まって走ります。

馬を走らせるのは、賀茂の神はもともと雷の神であったため、稲妻に見立てたという説があります。
また、賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)の娘の玉依日命(たまよりひめのみこと)は川で丹塗りの矢を拾い、床に置いていたところ身ごもって、賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)を産んだいうと伝説があるため、この丹塗りの矢に見立てたという説もあります。

葵祭は、神話時代と有史時代の境目くらいの時代からの歴史を受け継ぐ、極めて貴重な祭りです。はるか昔の日本に想いを馳せることができるのが、葵祭の本当の魅力です。

【関連するページ】
上賀茂神社
下鴨神社

風の旅TOP(全国)

余白 京都観光コース 京都のお寺と神社 京都の祭り 京都の桜 京都の紅葉 京都のホタル 京のことの葉
風の旅 京都観光街めぐり 京都の祭り