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真言密教の出発点となった由緒あるお寺

神護寺、太子堂

▲神護寺、太子堂

神護寺は、奈良時代の781(大応元)年に創建された高雄山寺を起源とする、由緒あるお寺です。
歴史上のエピソードに恵まれ、代表的なものに最澄と空海の話があります。
最澄は自分が唐で学んできたものが空海にはるかに及ばないことを知り、弟子としての礼をとって7歳年下の空海を迎え、学びました。

しかし、経典を重視する最澄と行を重んじる空海の間に次第に溝が生まれ、最澄の弟子・泰範が空海についたことをきっかけに決別しました。日本史好きな人の間ではよく知られたエピソードですが、その舞台となったのが、実は神護寺です。この2人の日本仏教史上の高峰は、神護寺で10年以上も過ごしたのです。

また、文覚(もんがく)上人のことも、有名です。
文覚は遠藤盛遠(えんどう もりとお)という北面の武士でしたが、源渡(みなもとのわたる)の妻・袈裟御前に恋慕して、夫を守ろうとした袈裟御前を殺してしまい、それを悔いて出家して文覚と名乗りました。直情径行な性格で、敬愛する空海の寺である神護寺が荒廃したのを見て、我慢できずに後白河法皇に強訴し、伊豆に流されました。
そして、伊豆で源頼朝と出会って平家打倒を勧め、陰で支え、鎌倉幕府成立後は頼朝の助けを得て、荒れ果てていた神護寺を再興しました。
そのドラマチックな生涯は『平家物語』や『源平盛衰記』に描かれ、歌舞伎の題材とされ、菊池寛や芥川龍之介の小説にも登場します。

京都で最も早く朱色に染まる紅葉の名所

神護寺は、今では紅葉の寺として知られています。昼と夜の寒暖の差が大きな高尾にあって、紅葉の色づきがよくなるためです。
京都の市中で紅葉がよくなるのはおおむね11月下旬ですが、つい待ちきれずに早めに行ってしまうのが人情。そんなとき、京都で一番初めに紅葉が色づく神護寺は受け皿になります。

紅葉に彩られた神護寺の境内

▲紅葉に彩られた神護寺の境内

ただ、問題は400段もの石段が待ち受けていることです。
率直に申し上げて、ご高齢の方や足腰の弱い方は止めた方がよいと思います。逆に「美しい紅葉を見るためなら、たまには運動不足の解消を兼ねて上ってみようか」という方なら、ハイキング気分で楽しいでしょう。
階段の途中には、何ヶ所か茶店がありますから、甘味でも楽しみながら、ご自分のペースでゆっくり上るとよいと思います。

神護寺は山寺ですから、飾り気はありません。京都らしい平安風の雅びさを期待してはいけません。有名な紅葉も、率直に言って、東福寺や清水寺のような豪華さはありません。つくられた観光寺院ではないのです。しかし、山寺には山寺のよさがあります。

石段を上って堂々とした山門を入ると、樹木が茂る下に開基となった和気清麻呂をまつる和気公霊廟があり、石段の上に鐘楼が建ち、さらに上っていくと、五天堂や毘沙門堂、明王堂などが建っています。

山内で最も大きな建物は金堂。大瓦屋根の流れが美しい、豪壮なつくりの建造物です。
山内で最古の建物は大師堂。弘法大師が住居とした入母屋造の質朴なお堂です。

秋の明王堂

▲秋の明王堂

この大師堂から少し先へ行くと、錦雲渓(きんうんけい)へ出ます。錦雲渓からははるか下に清滝川の渓谷が広がります。

素焼きの皿を売っているので、投げると円盤のように下の方へ飛んでいきます。眼下の風景が自分のものになったような気分になります。

それから、ちょっとした旅のアドバイスですが、京都駅からは市バスではなく、JRバスで行くことになります。烏丸中央口を出て、一番駅に近い一画にバス停があります。このJRバスの運行コースの途中に、石庭で有名な龍安寺があります。 合わせやすいので、行きか帰りに立ち寄るのをお勧めします。

また、ハイキング圏内に世界遺産の高山寺があります。文覚の孫弟子の明恵が守り育てたお寺です。途中の道はかなり起伏があって、距離もありますが、深イイお寺なので健脚の方は歩いてみるのもよいでしょう。

【神護寺の文化財の例】
仏像:薬師如来立像・五大虚空蔵菩薩坐像
仏教絵画:紫綾金銀泥絵両界曼荼羅図・釈迦如来像
肖像画:源頼朝像(藤原隆信筆)・平重盛像・藤原光能像
書籍:灌頂歴名(空海)・文覚四十五箇条起請文 など。

【神護寺を含む京都観光コースガイド】

清滝川に沿って、高山寺から神護寺へ

【公式ホームページ】

神護寺

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