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変化しないゆえに無限の変化がある石庭

龍安寺の石庭

▲龍安寺の石庭

龍安寺は、臨済宗妙心寺派の十刹のひとつです。徳大寺家の別荘であったものを、室町時代の1450年、管領の細川勝元が譲り受け、妙心寺の5世・義天玄承(ぎてんげんしょう)を開山として創建しました。室町時代末期、応仁の乱で兵火にかかりましたが、1488(長享2)年、勝元の子の細川政元が再興し、細川家の菩提寺として栄えました。

龍安寺といえば、何といっても石庭です。この石庭は、数ある京都の庭の中でも、際立った傑作といってよいでしょう。
東・南・西の三方を油土塀で囲んだ約1,000m²の長方形の底面に白砂を敷き、「七五三の庭」とも呼ばれるように15個の石を東から西へ、7・5・3に配置し、白砂には波紋の趣を出しています。

左の険しい石からはるかに隔たる右の石へ、ピーンと張った糸のようにみなぎる緊張感。
その緊張感を別の石で緩めるものの、そこに新たに生まれる緊張もあります。それを別の石で緩めます。しかし、そこにはさらに新たな緊張が張り巡らされてきます。それを小さな捨て石で緩和します。
こうして大小高低のある石を組み合わせて出来上がった庭は、寸分の隙もない緊張感がみなぎる世界です。

石庭は、年間を通じて、ほとんど変化はありません。変化するのは、石のまわりのわずかな苔の濃淡くらいでしょう。しかし、雨が降り、雪が降り、月が上り、春には桜、秋には紅葉が塀の外から色を添えます。ときには鳥やトンボや蝶も、やってきます。変化しないからこそ、無限の変化が感じられます。

春の石庭

▲春の石庭

一般的には禅に通じる世界と解されており、イギリスのエリザベス女王や現代哲学の巨人サルトルが絶賛したことなどもあって、西洋の日本の観光ガイドでは、Zen gardenの代表と紹介されているようです。実際、たとえば次の詩に通じるようなものはあります。

留守と言へ
ここには誰も居らぬと言へ
五億年経ったら帰って来る
(高橋新吉「るす」)

秋の石庭

▲秋の石庭

石庭は古くから「虎の子渡し」とも呼ばれてきました。それは虎が子どもを連れて川を渡る様子に似ているためとも、15個の石はどこから見ても1個は隠れて見えない構造となっており、それが虎が子を連れて川を渡るときに子を隠すようにするのに似ているためとも言われます。

作者については、室町時代の足利将軍の同朋衆で、絵画や連歌、作庭に秀でていた相阿弥(そうあみ)という人物とも、江戸時代の作とも言われ、明らかではありません。

季節感豊かで変化に富む、優美な龍安寺庭園

紅葉の龍安寺

▲紅葉の龍安寺

龍安寺は石庭があまりにも名高いため、見落とされがちですが、境内はかなり広く、約10万m²もあり、なかでも鏡容池(きょうようち)を含む約3万8,400m²が龍安寺庭園として、国の名勝に指定されています。

鏡容池は、平安時代には貴族たちが船を浮かべて詩歌管弦に興じた池だっただけあって、風趣に富んでいます。

庭園には、「龍安寺十勝」と呼ばれる景勝があります。すなはち、1.茶席蔵六庵、2.佗幼椿、3.竜安寺垣、4.方丈の月見、5.石段の紅葉、6.鏡容池、7.弁天島、8.凌虚亭、9.衣笠山の雪、10.水分石の遠望です。

これら10の景色は、四季折りおりの美しさで知られています。

1.茶席蔵六庵:方丈から東庭を隔てた隅にある茶室。蔵六という語は亀の別名で、頭、尾、四肢の六つを甲羅の中に隠すのでこの名がつけられました。
2.佗幼椿(わびすけつばき):方丈の東側の中庭に植えられた、樹齢400年の椿です。豊臣秀吉が絶賛したと言われています。
3.龍安寺垣:厚い竹を斜めに編んだ、背の低い透垣(すいがい)です。庭園のあちこちに竹垣がありますが、中でも本堂と庫裏の間にある石垣の上に位置する竹垣が、古来のスタイルを伝えているという話もあります。
4.方丈の月見:方丈は1798(寛政9)年の火災により消失し、塔頭の西源院の方丈を移築したものですが、ここから見る月はとても美しいとされています。
5.石段の紅葉:庫裏(くり)へと続く石段は、紅葉のトンネルとなります。圧倒的な美しさです。
6.鏡容池:円融天皇の御願寺である円融寺の池であった、と伝えられる大きな池です。昔はオシドリが多く、おしどり池とも呼ばれました。
7.弁天島:豊臣秀吉の念持仏と伝えられる弁財天がまつってあります。春には美しい桜に彩られます。真田幸村の墓があります。
8.凌虚亭:裏山(朱山)の山上にあった建物です。昭和天皇が皇太子時代に訪問されたことがありますが、現存しません。
9.衣笠山の雪:衣笠山は冬には雪をかぶった美しい景色となります。宇多天皇が夏に衣笠山の雪景色を見たいと言い出し、白い布をかぶせたことから「きぬかけの路」の名がついた故事は有名です。
10.水分石(みくまりいし)の遠望:池の水位を測るために置かれた石です。亀が日向ぼっこをするなど、のどかな光景が見られます。

哲学的な石庭と多彩な魅力に富んだ庭園と、さまざまな魅力が待っているのが龍安寺です。

【龍安寺を含む京都観光コースガイド】

金閣寺からきぬかけの路を行く

【公式ホームページ】

龍安寺

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