「ぶぶ漬けは、いかが」は「そろそろ帰って」という意味というのは、本当か?

よく聞く話に、京都では「ぶぶ漬けは、いかがどすか?」と聞かれたら、「そろそろ帰ってくださいな」という意味だといいます。 ぶぶ漬けとは、お茶漬けのこと。酒呑みにとって、最後に食べるものなので、転じて、そういう意味になったのだと、よく説明されています。

さらに、もし本当に食べて帰ったら、もののわからないヤツというか、空気の読めないヤツとされる、といいます。
本当でしょうか? 

実は、これ、大阪で発達した上方落語の「京の茶(ぶぶ)漬け」に出て来る話が、一人歩きしているようです。
ある客が、京都での用を済ませて帰ろうとすると、「何もおへんけど、ぶぶ漬けでも」と勧められ、「ちょっとだけ」と返事してしまいます。

その結果、台所では、
「厚かましおすな」
「常識がおへん」と、言われたい放題となってしまいます。

京都の人の中には、「法事以外に、よそ様をご飯に呼んだり、呼ばれたりということはないので、話自体が成り立たない」という人もいます。
人をもてなすのなら、仕出しの料理を取り、ぶぶ漬けなんか出さないので、おかしいというのです。確か、京都検定でもそのような解説があったと思います。

ただ、「火のないところに煙は立たぬ」ともいいます。

京都の人に「おうどんでも取りまひょか?」と聞かれたら、「ぶぶ漬け」と同じ意味になる可能性があるのでは…。
相手の目を見て、目が笑っているか、笑っていたとしても、真意は別のところにないか、敏感に察しなければなりません。ああ、疲れる。

また、「ぶぶ漬け」は有名になりすぎて、始まりはともかく、今は、京都でも「早く帰れ」という意味だと思っている人は、少なからずいます。

私などは、もともと九州男児で、しかも東夷(あづまえびす)の地で育ったので、「せからしか! 言いたいことば、はっきり言うたらよか!(うっとうしい。言いたいことは、はっきり言ったらよいのに」と言いたい面はありますが、これは、さまざまな権力者に翻弄された京都の人々が、長年の間に蓄積した智恵ではないかという気がします。

はっきりものを言うと、場合によっては命にかかわるので、どうとも取れる言い方が発達したのではないでしょうか。それが「奥ゆかしい」という文化となり…。

ちなみに、京都のぶぶ漬けは、決してまずくはありません。それどころか、実においしいです。
宿で漬け物をもらって、いろいろ試してみてください。

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