若菜摘み

(わかなつみ)

フキノトウ

2月の末、郊外へフキノトウを摘みに行っていました。あまり人の来ない畑の周辺で、春になると芽を出す場所があるのです。 天ぷらもおいしいですが、私は刻んでみそ汁に入れたものが好きです。火はほとんど通しません。ホロ苦さに、春を感じます。

3月になると、ツクシが採れます。これも春の味覚ですが、食べるにはハカマを取らなければなりません。 その作業が手間なのと、少々クセが強い味なので、大量に摘むと、あとがつらいです。しかし、楽しいので、ついたくさん摘んでしまいます。
そのほか、セリなども採れます。


野草や山菜を摘むようすを詠った歌としては、平安時代初期の光孝天皇のものが有名です。『古今集』や『小倉百人一首』に収録されています。

君がため春の野にいでて若菜摘む 我が衣手に雪は降りつつ

若菜摘みは、貴族と庶民に共通する楽しみでした。正月の七草がゆに始まり、今でいうゴールデンウィークのころまで、さまざまな若菜を摘んで、春を感じたのでしょう。


余談ですが、光孝天皇は料理好きで、部屋がすすけて黒光りしていたため、「黒戸の君」と呼ばれるほどでした。
光孝天皇は、人間が生きて行くために生類を殺生しなければならないことに心を痛め、四條中納言の藤原山蔭に供養の儀式の形をつくるように命じ、 藤原山蔭は三鳥五魚(ツル・キジ・ガン・コイ・タイ・スズキ・マナガツオ・フナ)を使った包丁式の儀式を考案しました。
これは、今でも藤原山蔭の子孫の四條司家に受け継がれています。


さて、光孝天皇の歌にある「君」とは、だれでしょうか?
歌だけ読んでいると女性がしっくりきますけれど、グルマンで人にご馳走するのが好きだった光孝天皇のことですから、「君」とは宴会に来訪を予定している中年オヤジの貴族かもしれません。 しかし、そう考えると身もフタもないので、やっぱり想い人の女性ということにしましょう。 結論から言えば、だれかを特定するのはできないと思いますが。


野草や山菜は、ちょっとしたところにあります。都市化が進んで、食用にするのに抵抗を感じない、きれいな場所を見つけるのに苦労しますけれど、春の田んぼなどで探せば見つかります。

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