夏座敷

(なつざしき)

エアコンも、それどころか扇風機もない時代、初夏になると、人々は、部屋と部屋を仕切るふすまをはずし、障子を張り替え、すだれをかけて、 夏の準備をしたものです。

私が子どもの頃は、さすがに扇風機くらいはありましたが、それでも夏らしく模様替えをしました。障子を、張り替える前に思いっきり破ったり、 夜、蚊屋を吊るとき、上に乗って跳ねて邪魔をしたりするのは、子どもの楽しみでした。

ふすまを取り去ると部屋がつながって広くなります。
綿の入った座ぶとんの代わりに、いぐさや竹で編んだ敷物を敷くと、草のよい香りがします。
風鈴を下げると、チリンチリンと涼し気な音がします。
このように夏に涼を感じながら過ごせるようにしつらえた部屋を、夏座敷といいます。

昔の家は、風通しや採光をよく考えて設計されていました。
吉田兼好は『徒然草』の中で、「家の作りようは、夏を旨とすべし。冬は、いかなるところにも住まる。暑き比(ころ)悪しき住まいは、堪(た)へ難き事なり。」と書いています。
冬の寒さは衣服を着ることで防げても、夏の暑さはそうはいかないからです。

「夏座敷」は、俳句にもよく詠まれます。大岡信さんの「折々のうた」からの孫引きですが、一句。

夏座敷 風が正座を しておりぬ

               貝森光大(かいもりこうだい)

涼やかに整った夏座敷が目に浮かぶようです。

すだれ

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