初夏の鮎

6月の初めに鮎漁が解禁されると、京都でも、桂川や鴨川の上流では、待ちかねたように、太公望たちが竿を出します。 鮎は、京都では、平安京の昔から賞味されてきた、なじみ深い魚です。

『源氏物語』の「常夏」にも、光源氏が美しい夕霧や親しい貴族たちと六条院で涼をとった際、 鮎を目の前で料理させて食べた話が出てきます。

いと暑き日、ひむがしの釣殿に出で給ひて、すゞみ給ふ。中将の君も、さぶらひ給ふ。 したしき殿上人、あまたさぶらひて、西河よりたてまつれる鮎、ちかき河のいしぶしやうのもの、御前にて調じ、まゐらす。

中将の君とは夕霧のこと。西河とは当時は葛野川と呼ばれた現在の桂川、ちかき川とは鴨川や高野川、いしぶしとはカジカやハゼなどの石の下にいる小魚のことを指します。

このころ、京では、鮎は桂川のものが最上とされて、一般の人々の漁は禁じられ、鵜飼いが捕った鮎を桂女(かつらめ)たちが宮中へ運んでいました。
今は、幸い庶民の口にも入ります。

美味なのは、やはり天然もの。キュウリに似た独特の芳香を楽しむのは、初夏の喜びです。


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