愛宕念仏寺は、嵯峨野の北のはずれにある静かなお寺です。嵐電の嵐山駅からバスに乗り、「愛宕寺前」で降りると、静寂に包まれたお寺の門の前に出ます。空気は澄み、鳥の声が聞こえてきます。その境内の至るところに石仏が並んでいます。 近くにある化野念仏寺の雨風に風化しかけた寂しい石仏や石塔と比べると、ユーモラスで微笑ましい雰囲気があります。
これらの石仏は、1981(昭和56 )年に仁王門の解体復元修理を行った際、先代の住職であった西村公朝さんが「境内を羅漢像でいっぱいにしょう」と発願されたものです。

西村公朝さんは兵士として中国に渡り、夜間の行軍中に睡魔に襲われ、何千体もの壊れた仏像を夢にみました。「私に直してほしいのか。では、修理するから早く日本へ帰してくれ」と約束したとたん、夢から覚めたそうです。
西村公朝さんは僧であるとともに仏師でもあり、三十三間堂の千一体の仏像群のうちの600体、広隆寺の弥勒菩薩、東寺の焼け仏などの修復にあたられました。また、東京芸術大学の教授として、多くの学生を指導されました。
住職を務める愛宕念仏寺を石仏で埋め尽くしたのも、上の世界の存在との約束の一環だったのでしょう。

愛宕念仏寺の石仏は、信徒や参拝者から寄贈を受けて、10年かけて1200体に達しました。どの像も名のある仏師の手になるものではなく、一般の人々の手彫りです。 小学生がレンガに顔を彫って、クラスのみんなで並べたのに似ています。しかし、人々がそれぞれの心の中にある仏を具現化したという点ではまさに“本物”であり、とても味わい深いものです。
それでは、石仏たちを紹介しましょう。



「まあ、一杯。」
「それではお近づきの印に。」



「ワッハッハ」



「おすまし〜。」



「よく来なさった。」



「な〜む〜。」
(おや、ボクサーもいますね!)



「まあ、よろしいでしょう。」
「うむ。」



「今度は家族や友だちをつれて、いらっしゃい。」


愛宕念仏寺の石仏には、おおらかに笑っているもの、真面目にすましているものなど、さまざまな表情の羅漢があり、その中にはきっと自分や知人に似ているものもあるはずです。 来てみると楽しくて、「思っていたより、ずっといい」と感じる人が多いのではないでしょうか。



近くには、こんな石柱が立っています。バスの本数が少ないのが難ですが、愛宕念仏寺から渡月橋へ向かって歩くのもよいでしょう。下り坂ですし、理にかなった方法だと思います。


公式ホームページ

愛宕念仏寺


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【愛宕念仏寺の基本情報】

●正式名称

愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)

●宗派

天台宗

●山号

等覚山(とうかくざん)

●本尊

千手観音

●住所

〒616-8439 京都市右京区嵯峨鳥居本深谷町2-

●電話

075-865-1231

●見学に要する時間

20分〜50分ほど。

●拝観時間

8:00〜17:00
(16:45に受付終了)

●休日

年中無休

●駐車場

あり(乗用車10台)

●拝観料

    一般 団体割引
大人  300円 270円
高校生 300円 270円
中学生以下 無料
※団体割引は10名以上。

●車いすによる拝観

可(介護者がいれば、下の方は見ることができます。ただし、階段は多いです。)


【愛宕念仏寺観光のワンポイント】

京都バスの「愛宕寺前」で降りると目の前が愛宕念仏寺ですが、「鳥居本」で降りて少し坂を上がるのも面白いです。 このへんは京都市の「伝統的建造物群保全地区」になっており、なかなか雰囲気がよいです。
ただし、「鳥居本」から上がるとやや距離があり、目印もなく、「道をまちがえたかな?」と思うころに着きます。


嵯峨鳥居元の街並

▲嵯峨鳥居元の街並


【愛宕念仏寺の年間行事】

1月

●1月24日 13:00〜15:00
息災護摩供

幸せな暮らしを願う法事です。護摩木にお願いごとを書くと、火で炊き上げられます。

4月

●4月第1日曜日 13:00〜15:00
羅漢花祭り

釈迦の生誕を祝う法事です。インド舞踏とご住職の西村公栄さんによるシンセサイザーの演奏が奉納されます。
先代のご住職の西村公朝さんは高名な仏師でしたが、愛宕念仏寺のご住職の家には芸術家の血が流れているようです。

11月

●11月第2日曜日 13:00〜15:00
天狗の宴

天狗から厄払いの加持が受けられます。

12月

●12月31日 深夜
除夜の鐘

今年1年の無事を感謝し、来る年の幸せを祈ります。

★毎月の祭り

●毎月24日 13:30〜
(大祭日と重なる日はなし)
法話

ご住職による法要と法話が行われます。

※天候その他の諸事情により中止もしくは変更になることもあります。


【愛宕念仏寺へのアクセス】

●京都駅から
JR山陰本線「亀岡行き」に乗り、「嵯峨嵐山」下車。渡月橋まで歩いて京都バス「嵐山」の停留所を探し、 京都バス「清滝行き」に乗って、「愛宕寺前」下車。
※京都駅から「清滝行き」に乗ると、乗り換えなしの一本で行けますが、寄り道が多くてとても時間がかかるので、嵐山まで電車で行き、そこからバスに乗り換えるのをお勧めします。
●四条河原町から
京都バス「清滝行き」に乗り、「愛宕寺前」下車
または市バス11系統嵐山「嵯峨・山越行き」に乗り、「嵐山」下車。京都バス「清滝行き」に乗り換えて、「愛宕寺前」下車。
※他路線バスでも行けたり、他ルートがある場合もあります。


【愛宕念仏寺の歴史】

奈良時代末、聖武天皇の娘に当たる称徳天皇によって、東山の地に開創されました。 当時、京都の四条の西院から東山方面にかけての地域を愛宕郡といったため、愛宕寺という名がつけられました。
平安時代初期に鴨川の洪水によって堂宇が流され、廃寺となりましたが、天台宗の僧、千観によって再興されました。千観はつねに念仏を唱えていたため、愛宕念仏寺と呼ばれるようになりました。
鎌倉時代に本堂が建てられ、現在は重要文化財となっています。
その後、興廃をくり返し、大正時代に奥嵯峨の地に移築されましたが、荒れ果ててゆきました。
しかし、1955年に天台宗本山から西村公朝さんが住職を命じられ、立て直しに取り組み始め、1981年に参拝者による「昭和の羅漢彫り」が始まって、10年後には1200体に達し、現在に至っています。


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【公式ホームページ】

愛宕念仏寺


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