清水の舞台

清水寺は、798年、桓武天皇の下で征夷大将軍を務めた坂上田村麻呂が建立したと伝えられる、由緒ある大寺院です。明治時代に廃仏毀釈の嵐が吹き荒れるまでは、平安時代から千年の長きにわたって、朝廷や幕府の保護を受けてきました。

平安時代から観音霊場として人々の信仰を集め、さまざまな清水寺縁起がつくられて、霊験譚が世に広まりました。たくさんの人々が参拝したことで、「清水詣」という言葉も生まれました。
「清水の舞台から飛び下りる」という言い回しでも知られています。
実際に飛び降りた人がどうなったかについては、「清水の舞台から飛び下りた人は、本当にいるの?」に記事を書いておきました。

堂宇は、歴史上、幾度か焼失と再建を繰り返しています。現在ある建物の大部分は、徳川家光が1633年に再建したものです。

平安時代からそうとう賑わっていたようで、紫式部は、『源氏物語』の「夕顔」の巻で描いています。

寺々の初夜も、皆、行いはてて、いとしめやかなり。清水の方ぞ、光多く見え、人のけはひもしげかりける
(東山の寺々の初夜の勤行も終わって、ひたすら静かでした。清水寺の方角にだけ灯がたくさん見えて、参詣する人がせわしく行き来する気配が感じられるのでした。)

愛しあう夕顔とラブラブな夜を過ごした2日目、嫉妬に狂った六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の生霊によって、眠っている間に夕霧が命を奪われ、傷心の光源氏がおろおろとする場面です。
続いて、光源氏が川の水で手を洗い、清水寺の観音様を拝む場面も描かれています。

清水寺は、今も多くの人々が訪れる観光スポットです。いつ行っても、人、人、人。しかし、それが全然嫌なものでなく、観光客の多さは「混雑」というより「賑わい」と感じさせる明るさや楽しさがあります。
境内が広くて、膨大な観光客も無理なく収めてしまうためかもしれません。

見どころが多く、いつ行ってもよい寺ですが、桜や紅葉の名所としても知られています。その時期には夜間にライティングされ、夜も楽しめます。

また、境内にある地主神社は京都を代表する縁結びの神様として知られ、恋の成就を願う女性に人気があります。


清水寺の仁王門
清水坂を上がると、朱塗りの大きな仁王門が現れます。ここが清水寺への入口。とてもきれいです。右に見えるのは、西門。どちらも重要文化財です。


清水寺の三重塔
境内を上がっていくと、三重塔があります。高さは31m弱。日本最大級です。


清水の舞台遠景
清水の舞台を遠くから眺めてみました。


清水寺、音羽の滝
「清水」の名のもとになった、奥の院崖下にある音羽の滝です。創建当時は、修験道の修行に利用するような激しい滝であったと思われます。この滝の水は天下五名水のひとつとされ、さまざまな病に効くとされてきました。外国からの観光客が、もの珍しそうにひしゃくで水をくんでいる光景もよく見ます。


音羽の滝の赤とんぼ
音羽の滝の下の池で、赤とんぼを見つけました。


清水坂
清水寺の門前は、坂になっていて土産物屋や飲食店がたくさん並んでいます。現在は「清水坂」と呼ばれますが、 昔は「清水岡」と呼ばれていました。交易路として栄えて、平安時代から南北朝時代にかけては、「車借、乞食などが多く住み、1179年、 祇園大衆と争って、清水坂一帯が焼き討ちにあった」と、中世史では伝えられています。


【清水寺の歴史】

大和の国(現在の奈良県)の真言宗の寺院、子島寺の僧、賢心(のちの延鎮/えんちん)が、「木津川の北流に霊水を求めて行け」という夢のお告げを受け、霊水を探して音羽の滝に至りました。
すると滝のそばに庵を結んで修行をしている行叡居士(ぎょうえいこじ)という僧と出会いました。
行叡居士は「私はあなたが来るのを長い間待っていた。私はこれから東国へ旅立つので、あとを頼む」と語って霊木を賢心に与え、霊木に千手観音像(せんじゅかんのんぞう)を彫って山を守るように言うと、去っていきました。
賢心は行叡居士が観音の化身であることを悟り、千手観音を刻んで安置しました。これが清水寺の始まりで、778(宝亀9)年のことであるとされています。


その2年後の780(宝亀11)年、征夷大将軍、坂上田村麻呂公が妻の安産のため、血を薬とするために鹿を追って音羽山に上がってきました。そして清らかな水に導かれ、水源を求めて歩いているうちに草庵にたどり着き、賢心と出会いました。
坂上田村麻呂公が賢心に鹿狩りに来たことを話すと、観音霊地で殺生をする罪を戒められ、観世音菩薩の教えを諭されました。深く感銘を受けた坂上田村麻呂は妻とともに観音に帰依し、 自分の邸宅を仏殿として寄進し、十一面千手観世音菩薩を御本尊として安置し、寺を創建しました。


その後、田村麻呂は桓武天皇の命を受け、東北地方に勢力を張っていた蝦夷を帰属させるため軍を率いて行きます。 この時、田村麻呂は清水の観音の加護を祈って勝利し、恩返しとして延鎮(賢心)上人と力を合わせ、伽藍を造り、境内を広げ、本尊として金色八尺の千手観音像、脇侍に勝軍地蔵菩薩・毘沙門天像を祀りました。


寺は810(弘仁元)年に鎮護国家の道場となり、朝廷から「北観音寺」の法号を賜り、初めて「清水寺」の額を掲げました。
当時、南都(奈良仏教)と北嶺(比叡山延暦寺)の争いが激しくなる中で、法相宗という興福寺を総本山とする南都仏教の、いわば平安京での最前線を受け持ったのが清水寺でした。 そのため京都の新しい仏教勢力からは目の敵にされることもありましたが、清水寺は観音信仰の霊場として定着し、老若男女、身分の高下を問わず、人々の尊崇を集め、平安時代には観音詣の人でにぎわったことが、『枕草子』にも描かれています。
毎月17日の観音縁日には門前に物売りや物乞い、芸能者が集まり、鎌倉時代に入って露店や立ち売りの門前市が常設化されて、門前町を形成し始め、民衆に経済力がついた室町期からは、ますます発展していきました。


清水寺は開創以来1200年以上の間、幾度もの災害や戦災に遭っています。
創建後の平安時代、すでに何度も兵火に遭い、鎌倉時代には1220(承久2)年に、次いで1259(正元元)年に、さらに1274(文永11)年に本堂を焼失しています。
仏像も消失し、1220(承久2)年の消失の際は、翌年に両脇侍をつくり直した記録も残っています。
10回以上も落雷による火災や兵火に遭い、そのたびごとに、信心する庶民の勧進や、時の権力者たちの庇護もあって復活しているわけです。


江戸時代初期、3代将軍徳川家光の時代に現在の諸堂がほぼ整えられ、清水坂、産寧坂、二年坂周辺の門前町が形成されました。


明治時代に入ると廃仏毀釈や寺の土地を接収する上地令によって、清水寺は荒れ放題となりましたが、明治時代後半には建物の修復も進みました。 正面の仁王門も室町時代の再建と伝えられていましたが、1896(明治29)年に修復されたことが、2000年に行われた京都府教育委員会文化財保護課の調査でわかっています。


清水寺は1994(平成6)年、ユネスコの世界文化遺産に登録され、京都を代表する寺院として、世界中から多くの観光客を集めています。


公式ホームページ

清水寺


この場所を含む京都観光コースガイドへ

◎清水寺から知恩院へ


京都観光街めぐり

【清水寺の基本情報】

●正式名称

清水寺(きよみずでら)

●宗派

北法相宗

●山号

音羽山

●本尊

千手観音

●住所

〒605-0862 京都市京都市東山区清水1-294

●電話

075-551-1234

●見学に要する時間

1時間〜1時間半ほど。

●拝観時間

・開門 6:00(元旦以外すべて)
・閉門 18:00
※3月10日〜20日 17:30まで。
※8月1日〜8月13日 18:30まで。
※8月17日〜9月30日 18:30まで。
※10月1日〜10月30日の土日祝日 18:30まで。
※11月10日〜12月2日 17:30まで。
※終了時間の30分前までに入場してください。

●夜間特別拝観

日程は公式サイトから確認してください。

●休日

年中無休

●駐車場

近くの京都市営や民間の駐車場を利用。

●通常拝観料

大人  300円
中学生 200円
小学生 200円
※団体割引なし

●夜間特別拝観料

大人  400円
中学生 200円
小学生 200円
※団体割引なし

●車いすによる拝観


※茶碗坂を上がり、車止めの前のインターホンを鳴らしてください。自動車のまま境内に入れます。
※障害者証明証持参の方、無料。


清水寺、車いすの自動車ルート

▲身障者やお年寄りの自動車は、五条坂から入り、茶碗坂を上がってください。清水坂や産寧坂は自動車では通れません。


【清水寺へのアクセス】

●京都駅から
市バス100系統銀閣寺行き、または206系統北大路バスターミナル行きに乗り、「清水道」下車
●四条河原町から
市バス201系統、203系統、207系統の祇園方面行きで「祇園」下車→(乗り換え)→市バス206系統東山七条・京都駅行きか、202系統と207系統の東福寺・九条車庫行き「清水道」下車。
※他路線バスでも行けたり、他ルートがある場合もあります。


【清水寺観光のワンポイント】

清水坂など周囲の道沿いにはショップがたくさんあり、のぞいて歩いているとかなり時間を使います。十分に余裕を持って観光してください。


【清水寺近くの見所】

清水坂の途中の唐辛子屋さんの角を曲がると、産寧坂(三年坂)です。そこまでは多くの人が通るのですが、その途中をさらに曲がったところにある二年坂に気づく人は、意外と少ないです。 二年坂はとてもきれい。写真のポイントにもなりますから、ぜひ歩いてみてください。

二年坂

▲二年坂
町家が並んで、京都情緒たっぷりです。


【清水寺を含む京都観光コースガイド】

◎清水寺から知恩院へ


【公式ホームページ】

清水寺


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